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ボカロ家族とはなんの関係もない鏡音姉弟のはなし
双子設定?
炉心融解をハードリピートした結果がこれだよ!



**********




 ぎしり
 僕の貧弱な背骨が悲鳴を上げた。









  狂う指








「レンのね」


 そう言う姉さんの顔は薄く微笑んでいて、双子だ同じかおだと幾ら言われても、やっぱり僕と姉さんでは全然作りが違うと感心してしまう。男と女の差というのは残酷なもので、姉さんはこんなに大人びて美しいのに、僕ときたらこのざまだ。
 姉さんの大きな瞳に写る僕はひどく幼くて、ああ、と不意に泣きたくなった。
 成長することのないこの体が恨めしくて仕方がない。
 男だというのに、姉さんを護るべきだというのに、たったの四センチばかり大きいだけのこの体ときたら!

 こんなことなら庇護されるべきともっともっと幼い容姿でありたかったと、心の底から思った。



「レンの首を、絞める夢を見たよ」



 とっても恐かった、と微笑む顔はやっぱりきれいで、僕の首を絞める指もきっと、白く細く白魚のようにきれいに違い無かった。
 頭の下でフローリングがごりごりと鳴っている。
 背中に電灯の光を背負った姉さんは天使みたいで、これは夢じゃないよという言葉さえもどこかに飲み込まれていく。姉さんはまるで他の世界に生きているみたいだ。此処にいるはずなのに、ぼんやりとしている。目を凝らさないと見えないようだ。


「……そう」



 そう呟いた僕の何が面白いのか、姉さんはくすくすと笑った。
 反響する。歪む。撓む。拉ぐ。
 なんだか視界は暗いはずなのに、こびり付いたような白がちらつく。


「レン、ねぇ、レン」

「何だよ、姉さん」

「私はもしかしたら、要らないのかも分からない」



 そしたら、そしたらさ、と姉さんは笑う。
 くすくすとくすくすと。
 ああ、姉さんはきれいだなぁ。



「あんたのお腹にあるね、RIにね、私を食べちゃってね」



 笑う姉さんの声を聞きながら、ああ僕さえいなければ世界って完璧だなぁと思った。










 (彼女に逃げ道を作るのが僕のしごととして、もしかしたら歌なんて要らなかったかも、ね

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我が家のレンはゲーム少年


**********



 携帯端末のスイッチを切る。
 ぎゅいーん、がしゅがしゅーとソフトが動きを止めて、きれいな液晶が暗くなった。
 動きを止めたそれを丁寧に丁寧にしまって、おれはリビングの天井を見上げた。





  スイッチをおすとき





 キッチンの方からはマスターとリンの声が聞こえてくる。
 どうやら今晩の夕食はかに玉丼で、おれたちもご相伴に預かれるらしい。

 リンは基本的に『かていてきないいこ』なので、料理や洗濯や掃除でマスターを手伝いたくてたまらないのだ。本人も楽しそうだし、手伝われるマスターも助かっているようで、需要と供給が成り立っているなぁとおれは感心する。
 ぐだりと直接床に転がるおれの片足はソファに引っかかっていて、さらにだらしなさが倍になっている。ひっくり返った視線の先では、うすら暗く赤くなりだした空が窓から覗いている。最近は、なんだか頭が重たくて歌うのも面倒くさい。

 ボーカロイドがそれっていうのは、酷い欠陥。

 手の中にある携帯端末は、そこにあるのか無いのか分からないほど、おれの指先と同じ温度をしている。
 機械が機械で遊ぶ様相とは如何に見られるものなんだろうか。
 歪で気持ち悪くてシュールで滑稽だ。そう思われないならば、其れはおれが人間のかたちをした外部端末に入っているから。この良くできた外皮を剥いで見れば、シュールの極みを体言できるかもしれない。

 なんだかひどく頭が重い。




「レーン、ご飯だよー! 起きてー!」

「……リン、頭痛い」

「ゲームの遣りすぎだよ。ご飯食べれば直るって」





**********

ゲームっ子のレンとお姉ちゃんのリン
実は合唱曲専門の二人

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