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リクエストをいただきましたので

京築ひよりさん、ありがとうございます




**********



 マスターからたこ焼きをもらった。
 パックに入ったそれはまだほかほかと鰹節が揺れていて、口の中に放り込むとどろっと熱くそれでも旨い。もすっ、もすっとルカがリズム良くそれをほおばっている時、


「ルカどのー」


 そいつ、神威がくぽは現れた。






  クラップユアハンド







「ルカどのルカどの」


 ひらひら、不器用に手を振っている。
 にぱぁ、と花が咲いているような笑顔はひたすらにあどけない。
 舌が回りきっていないような発声は、どこかほほえましく感じられるような物だった。
 楽譜らしき紙を片手に、こちらへ駆け寄ってくるがくぽを見、ふと彼がもし子供の姿をしていたらとルカは考える。


「ルカどの?」


 顔の作りは、悪くない。
 寧ろかなり良い方、美丈夫と言って遜色はない。このまま外見年齢を半分ほどに引き下げるとしたら、男女を見紛うような子供になるに違いない。足りていない感じのする舌足らずは、変声前のボーイソプラノならばあるいは愛らしいことだろう。
 いすに座っているルカをのぞき込むためにわざわざ床に座り込む仕草も、子犬のようでかわいらしくみえるやもしれない。


「どうしたん、でござるか?」


 しかし、いくらそんな空想をしたところで、目の前の男は悲しいまでに美人な青年で、声も痺れるほどに低い。床に座り込む姿は、なんかもう情けないだけにしか見えなかった。
 軽くめまいを覚えながらも、ルカはたこ焼きをつつく串を止めない。


「ルーカーどーのー?」

「何だ」

「……もっと早くに返事が欲しかった、でござる」

「返事はしてやっただろうが。何だ」


 むう、と不機嫌そうに一つ唸り、しかしすぐに気を取り直したのかにぱっと笑ってみてる。
 その様子も酷く幼い。おまえは足りないな、とつぶやくと、意味を取れなかったのかかくりと首を傾げた。


「この歌詞の意味を教えてほしいでござる」


 差し出されたのは、白い上等紙に素っ気ない字で印刷された言葉の連なりだった。
 作り手も彼が歌うことを考慮したのか、漢字にふりがなが降ってある。

 ルカはそれを受け取り、簡単にざっと眺めた。
 がくぽはその様子を嬉々として見つめ、口を開くのを今か今かと待ちかまえている。


「……またか」

「またでござる」


 がくぽがルカにこうして歌詞の解釈を聞きに来るのは、そう珍しいことではない。
 はじめの頃はほかの成人型ボーカロイド、カイトやメイコ。果てはリンやレン、ミクといった未成年型にも聞いていたらしいのだが、「ルカどのの教えてくれる意味がいちばんわかりやすい」と宣ってからというものの、めっきりルカにばかり駆け寄ってくるようになったのだ。
 ほかの五人は犬が懐いたようなものだとほほえましげにルカに寄るがくぽを見守るが、当人からしてみれば冗談ではない。


「このBメロのところの意味が良く分からないのだ」

「……」


 その内容は、閉塞感を訴えたものだった。
 漠然とした世界や対人関係などに辟易を漏らし、けれども距離感のいらない誰かを求め、いい加減にしてくれと泣き言を言うようなもの。ある程度分別の着いた人格の持ち主ならば共感できるだろうその歌詞は、どうにも幼いきらいのある彼には少し難しいのかも知れない。


「この、語り部のいう『肩を並べられるあなた』というのは、それまで全く言及されておらなんだが、どういった人のことをいうんでござるか?」


 がくぽはそう言ってちょんと紙面の一角を指さしてみせる。
 青に近い紫で着色されたその爪が、白の上等紙にやたらと映えた。


「……これは」一人にしてくれ、もう沢山だ。そう言った舌の根の乾かない内に、語り部は隣でその愚痴を聞いてくれる誰かを求める「気の置けない知り合いっていうのを求めているんじゃないか」

「きのおけない」

「遠慮しなくて良い、気遣いのいらない」ルカの言葉を鸚鵡返ししたがくぽに、言い含めるように「ただ黙って寄り添ってくれるような」

「寄り添う、でござるか。つまり恋人を求めていると」

「そうとは限らないだろうが。友人や家族だってそうとも成り得る」

「……むう?」


 かくん、とがくぽは首を傾けた。その幼い仕草に、ルカは軽く頭痛を覚える。
 大きくため息をついていると、いい加減床にしゃがみ込むのに疲れたのか、ルカの隣に腰を下ろした。


「まぁ、つまり、拙者にとってのルカどののような方を求めている、という訳だな」

「……は?」


 なに言ってやがるこいつ、とルカはたこ焼きに串を刺す。
 が、手応えなくかつんとパックに突き当たった。
 あわてて手元をみると、からになったパックが空しくルカの手の中にある。道理で軽くなったものだと思っていたら。
 思わずぽかんとしていると、横から手が伸びてからになったそのパックを浚っていく。「空でござるよ?」とその手の主は綺麗なものでもないそのパックを、酷く丁寧な手付きで閉じて自らの膝に乗せた。
 そうして「しかし」と何処から出したのか唇に扇をあてる。


「それなら簡単でござるな。ルカどのがまだ居なかった頃を思い出して歌えばよいのだ」

「ちょ、ちょっと待て、おまえ、」

「ん?」


 にこりと笑って首を傾げる姿は、妙な慈愛に満ちている。ちょっと待てとルカは早鐘を打つ胸部を押さえた。
 ちょっと待て違うこいつはあれだから、中身幼児みたいなもんだから。そういうのは違うから!


「ルカどの?」

「……」

「る、ルカどの? ど、何処へ行くでござるか?」

「……」

「ルカどのぉ?!」


 違うそう言うのではない断じて違う!
 違うったら違うのだ!


 ストックしていたタコゲソをぎりぎりと噛みしめながら、ルカは邪念を振り払うように頭を振った。

 
 そんな馬鹿な。
 あいつを好きかも知れないなんて、









    (そんなばかなことがあってたまるか!)




**********

ひよりさん、リクエストありがとうございましたそして遅くてごめんなさい
サイトの方にありましたキャラ観を勝手に拝借させていただきましたがこれじゃあがくぽただのアホの子だ!なんか違う!


とりあえずエセ侍言葉とクール系口調楽しかったです
ルカは何気なく男言葉も似合いますよね
素直クールいいよ素直クール。クーデレもいいよクーデレ

拍手[4回]

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COMMENTS
ありがとうございました!
2010/07/02(Fri)17:10:20
こんにちは、リクエストさせていただいた京築です!

うおお…何とも素敵ながくルカありがとうございます…!
がくぽが素敵に幼い感じで…すごく…かわいいです…。
あとルカさんかっこよすぎますルカさん。惚れてまうやろー 

というか、うちのキャラ観を取り込んでくださって、
何かもう…すごくありがとうございます…!(日本語でおk)
自分の中のアホっぽいキャラ観が大木さんによって
見事に素敵ながくルカに昇華されてて、流石だなぁと感服いたしました…
アホの子いいよアホの子。クーデレいいよクーデレ。
サラッとルカさんを動揺させるがくぽが好きです。
そして動揺するルカさんかわいいです。
素直クールかわいいよ…。

なんか長くなってしまってすいませんです
改めて、本当に素敵ながくルカありがとうございました!
これからも更新楽しみにしてます(^^)

長文乱文失礼いたしました!
京築ひより 編集 RES
無題
2010/07/17(Sat)22:38:26
こんばんわ、返信が大変遅れてしまって、なんかもうほんとうにごめんなさい。

可愛らしいキャラ観に思わずやらかしてしまいましたが、楽しんでいただけたのなら幸いです!
素直クール可愛いですよ!ツンクールもかわいいですよ!もうとりあえずルカは可愛いですよ!ルカ可愛いよ!
ごめんなさい何か出ました

乱文で失礼しました。こんなもので宜しければお持ち帰りくださいませw
大木 編集 RES
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