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istoさんからのリクエストで『料理をする大人組』
お祝いでも何でもない感じになりましたが、受け取って頂ければ嬉しいです。
**********
「ほら早く作りなさい。私の仕事がないじゃない」
「初っぱなから何言っちゃってんのめーちゃん」
「味見担当か」
「メイコ姉さんは少し待ってて下さいね」
「え、二人とも突っ込まないの? ねぇちょっと」
hpを小さじに少々
「ん、これおーいし」
「あら、そうですか? ちょっとバジルが足りないかと思ったんですが」
「私はこれぐらいで良いわねぇ。がっくんは? ほらルカあーんしてあげて」
「メイコ姉さんっ」
なんだかなぁ、と口元に木ベラをやりながらカイトは思う。衛生面を気にしているのか、フライパンをふるうがくぽがそれを嫌そうな目で見ていた。外部端末に衛生もなんにもないじゃんとカイトは思うが、新式の弟分としてはそうでもないらしい。VOCALOIDというのはバージョンを重ねるごとに人間味を増していくよう作られていた訳ではないはずだけれど。
抱えたボウルの中には、どろりとパンケーキの種が入っている。カイトが混ぜ、その隣でがくぽが焼いていくという単純作業。もう片方の手で根菜のぱりぱり焼きまで作っているのだからカイトの弟分ときたら優秀である。
半ば突きつけられるようにして差し出されたハーブ入りのパンをもそもそやっている彼は、そのもそもそしたまま顎でカイトを指し示した。示されたルカはぱちくりと瞬きをして、一切表情を変えないままに残ったパンを隣のメイコに手渡した。役割分担が出来ている。
「ルカ」もさもさ「そっちの」もさもさ「皿取って」
ちょっとバター足りなかったんじゃないのこれ。
メイコはソファにぐったりともたれ掛かりほろ酔い加減でこちらを伺っている。
それぞれのマスターたちが「カイトメイコがくぽルカでなんかやろうぜ」と言い出したのが昨日の早朝のこと。それから思うとずいぶん行動力のある三人組だな、とマスター達のこもりきって構想を練っている部屋の扉を伺う。先ほど差し入れを持って行ったときには「どうします?」「和風ロックとか作りたいんですよね最近」「もういいよ全員ジェンダー全開振り切って人外声やろうぜ」「「おぉ!」」「いいですね和風ロックで人外声!」「妖怪系ですか!」とかやっていた。ストッパーのいないコラボになりそうだ、とそれぞれのマスターのことを思いつつ四人はため息を吐いたのだった。
そうして、そんなマスターたちの事を後目にカイトの「じゃあ俺らやることないし、差し入れでも作ろうか」の言葉から始まったVOCALOID食堂入りは、全員にアルコールが行き渡り、そろそろ佳境を迎えていた。
黙々とパンケーキを焼いていたがくぽが、やっぱり無言のままそれを皿にもりつけ差し出してくる。受け取り、メイコに渡しついでに一つ拝借。べろんとくわえたままでカイトはチャーハンの入ったフライパンをふるう。脳内再生はもちろん例の曲だ。
「ルカー、ホットケーキ食べるー?」
「あ、いただきます」
もうこれ差し入れる気ないだろ。
もさもさと食べつつもカイトはそう思う。ちなみに隣ではがくぽが全く同じ状態でパンケーキを食んでいた。
ぼうっとしたような瞳で自らの手元を見下ろし、もう一袋パンケーキミックスをあけようか迷っているらしい。やめとけやめとけと仕草で伝えた。
きちんとそれが伝わったのか、弟分はぱちくりと長いまつげを羽ばたかせてからうなづく。オープンキッチンの向こう側、リビングとしても使われているダイニングルームでは、ルカとメイコが所狭しと机に皿を並べていた。先ほどから紙パックのアルコールを啜っていたメイコは赤ら顔で分解に精を出しているよう。「飲み過ぎないで下さいね」そうメイコを窘めるルカの手の中にも、紫色のマグカップに入ったカルーアミルクがあるのだからおかしな話だ。
それを見たがくぽが肩を跳ねる。
「……巡音、それ俺の……え……あれ?」
自分の手元にある来客用のコップとそれとを矯めつ眇めつ、首を傾げる。さっき自分で手渡していたというのにひょんなものである。
何か言いたいらしい弟分の声はしかししおしおと萎れていき、終いには口を閉じて不本意そうに眉を寄せるだけに留めた。元から言葉の足りない質である彼は、飲酒をするとさらに口を噤むようになる。一度大ヘマをやらかしてからというもののどうしてもアルコールを摂取するとそちらの分解にメモリを割かなくていられなくなったらしい。その大ヘマの場に居合わせたものとしては、それが賢明だとカイトは思う。
「カイトー! がっくんもー、こっち来てそろそろ食べましょうよー」
一方でアルコール分解に慣れ親しんでいるメイコは逆に饒舌になる。赤ら顔にへろんとした表情は酔っぱらいそのものだが、だからと言って思考までは緩んでいないので全く油断は成らない。
ソファから顔を出しひらんひらんと手を振っている姉弟機に応え、後かたづけもそこそこにさせてそちらへ向かうことにする。
「カイト兄さん、飲み物はどうしますか?」
「あー俺はねぇ、この前買ったカクテル缶があったから、それのんでよっかな」
ちなみにルカとカイトは特に変化をしないたぐい。
「何ようカクテル? そんなのジュースじゃないの」
「俺はめーちゃんと違ってアルコール分解そこまで好きではないから」
「神威、そっち取っていただけますか」
「ん」
そうやって銘々好きなように食べたり飲んだりをし始める。
そろそろマスター達も煮詰まり出す頃だろう。ぞろぞろ出てきたら出迎え、適当に酒でも飲ませてやればいい。
「あーなんかこういうのってさぁ」
いいなぁ、なんかいいなぁ。
どこか空寒い天井を見上げながら、カイトはつぶやく。
(家族って感じ、)
**********
前々から書きたかったシュチェーションだった為、リクエストをいただいた瞬間「え、なに頭の中読まれたの」と本気で焦りました 本当にありがとうございます
ページの方のチェックを怠っていたため、書き上がりが非常に遅くなってしまいました。
遅れてしまってすみません
こんな駄文でも宜しければ、どうかお納め下さいませ
引き続きリクエストは承らせていただきますので、
大木に「こんなん書いて」みたいなのがありましたら、専用記事のコメントか拍手になんなりとお願いします
お祝いでも何でもない感じになりましたが、受け取って頂ければ嬉しいです。
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「ほら早く作りなさい。私の仕事がないじゃない」
「初っぱなから何言っちゃってんのめーちゃん」
「味見担当か」
「メイコ姉さんは少し待ってて下さいね」
「え、二人とも突っ込まないの? ねぇちょっと」
hpを小さじに少々
「ん、これおーいし」
「あら、そうですか? ちょっとバジルが足りないかと思ったんですが」
「私はこれぐらいで良いわねぇ。がっくんは? ほらルカあーんしてあげて」
「メイコ姉さんっ」
なんだかなぁ、と口元に木ベラをやりながらカイトは思う。衛生面を気にしているのか、フライパンをふるうがくぽがそれを嫌そうな目で見ていた。外部端末に衛生もなんにもないじゃんとカイトは思うが、新式の弟分としてはそうでもないらしい。VOCALOIDというのはバージョンを重ねるごとに人間味を増していくよう作られていた訳ではないはずだけれど。
抱えたボウルの中には、どろりとパンケーキの種が入っている。カイトが混ぜ、その隣でがくぽが焼いていくという単純作業。もう片方の手で根菜のぱりぱり焼きまで作っているのだからカイトの弟分ときたら優秀である。
半ば突きつけられるようにして差し出されたハーブ入りのパンをもそもそやっている彼は、そのもそもそしたまま顎でカイトを指し示した。示されたルカはぱちくりと瞬きをして、一切表情を変えないままに残ったパンを隣のメイコに手渡した。役割分担が出来ている。
「ルカ」もさもさ「そっちの」もさもさ「皿取って」
ちょっとバター足りなかったんじゃないのこれ。
メイコはソファにぐったりともたれ掛かりほろ酔い加減でこちらを伺っている。
それぞれのマスターたちが「カイトメイコがくぽルカでなんかやろうぜ」と言い出したのが昨日の早朝のこと。それから思うとずいぶん行動力のある三人組だな、とマスター達のこもりきって構想を練っている部屋の扉を伺う。先ほど差し入れを持って行ったときには「どうします?」「和風ロックとか作りたいんですよね最近」「もういいよ全員ジェンダー全開振り切って人外声やろうぜ」「「おぉ!」」「いいですね和風ロックで人外声!」「妖怪系ですか!」とかやっていた。ストッパーのいないコラボになりそうだ、とそれぞれのマスターのことを思いつつ四人はため息を吐いたのだった。
そうして、そんなマスターたちの事を後目にカイトの「じゃあ俺らやることないし、差し入れでも作ろうか」の言葉から始まったVOCALOID食堂入りは、全員にアルコールが行き渡り、そろそろ佳境を迎えていた。
黙々とパンケーキを焼いていたがくぽが、やっぱり無言のままそれを皿にもりつけ差し出してくる。受け取り、メイコに渡しついでに一つ拝借。べろんとくわえたままでカイトはチャーハンの入ったフライパンをふるう。脳内再生はもちろん例の曲だ。
「ルカー、ホットケーキ食べるー?」
「あ、いただきます」
もうこれ差し入れる気ないだろ。
もさもさと食べつつもカイトはそう思う。ちなみに隣ではがくぽが全く同じ状態でパンケーキを食んでいた。
ぼうっとしたような瞳で自らの手元を見下ろし、もう一袋パンケーキミックスをあけようか迷っているらしい。やめとけやめとけと仕草で伝えた。
きちんとそれが伝わったのか、弟分はぱちくりと長いまつげを羽ばたかせてからうなづく。オープンキッチンの向こう側、リビングとしても使われているダイニングルームでは、ルカとメイコが所狭しと机に皿を並べていた。先ほどから紙パックのアルコールを啜っていたメイコは赤ら顔で分解に精を出しているよう。「飲み過ぎないで下さいね」そうメイコを窘めるルカの手の中にも、紫色のマグカップに入ったカルーアミルクがあるのだからおかしな話だ。
それを見たがくぽが肩を跳ねる。
「……巡音、それ俺の……え……あれ?」
自分の手元にある来客用のコップとそれとを矯めつ眇めつ、首を傾げる。さっき自分で手渡していたというのにひょんなものである。
何か言いたいらしい弟分の声はしかししおしおと萎れていき、終いには口を閉じて不本意そうに眉を寄せるだけに留めた。元から言葉の足りない質である彼は、飲酒をするとさらに口を噤むようになる。一度大ヘマをやらかしてからというもののどうしてもアルコールを摂取するとそちらの分解にメモリを割かなくていられなくなったらしい。その大ヘマの場に居合わせたものとしては、それが賢明だとカイトは思う。
「カイトー! がっくんもー、こっち来てそろそろ食べましょうよー」
一方でアルコール分解に慣れ親しんでいるメイコは逆に饒舌になる。赤ら顔にへろんとした表情は酔っぱらいそのものだが、だからと言って思考までは緩んでいないので全く油断は成らない。
ソファから顔を出しひらんひらんと手を振っている姉弟機に応え、後かたづけもそこそこにさせてそちらへ向かうことにする。
「カイト兄さん、飲み物はどうしますか?」
「あー俺はねぇ、この前買ったカクテル缶があったから、それのんでよっかな」
ちなみにルカとカイトは特に変化をしないたぐい。
「何ようカクテル? そんなのジュースじゃないの」
「俺はめーちゃんと違ってアルコール分解そこまで好きではないから」
「神威、そっち取っていただけますか」
「ん」
そうやって銘々好きなように食べたり飲んだりをし始める。
そろそろマスター達も煮詰まり出す頃だろう。ぞろぞろ出てきたら出迎え、適当に酒でも飲ませてやればいい。
「あーなんかこういうのってさぁ」
いいなぁ、なんかいいなぁ。
どこか空寒い天井を見上げながら、カイトはつぶやく。
(家族って感じ、)
**********
前々から書きたかったシュチェーションだった為、リクエストをいただいた瞬間「え、なに頭の中読まれたの」と本気で焦りました 本当にありがとうございます
ページの方のチェックを怠っていたため、書き上がりが非常に遅くなってしまいました。
遅れてしまってすみません
こんな駄文でも宜しければ、どうかお納め下さいませ
引き続きリクエストは承らせていただきますので、
大木に「こんなん書いて」みたいなのがありましたら、専用記事のコメントか拍手になんなりとお願いします
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