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ぼーかろいどのSSとかを書いてたりするよ
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お題より



**********




 星空が今にも落ちてきそうだ。
 随分前に星座の双子を歌う曲のカバーをしたことを思い出しながら、ルカは空を見上げる。




  さかさのダブルユー




 屋根の上って気持ちいいんですよ、と言ったのはマスターで、そういう発言をしたという事は別に屋根へ登ってもかまわないというゴーサインなのだろう、とそれでもびくびくとしながらルカは身じろぎする。地面は遠い。見慣れた小さな庭は、上からの視点で見るといつもとは随分違った様相にみれた。ともかく、落ちたら端末が機能停止しかねない。
 それでもなぜ彼女がここに上っているのかと聞かれれば、それはルカ自身も首を傾げざるを得なかった。

 ほんとうに、なんで上っているのだろうか。



「……?」



 眉を寄せても分からなかった。

 あちらに見えるのがオリオン座。北に遠く浮かぶのがこぐま座。それに寄り添うようにおおくま座。カシオペア座がひっくり返っている。
 星座の合間を縫うように順々に追っていけば、それはまるでナイトウォーク。

 怖いけれど、とルカは一息吐く。

 どうしてなかなか、こう言うのも悪くない。




「……ルカぁ」

「っ?!」

「こんなとこに居たのかよう。探したんだけど」



 がたりと物音がして、気の抜けるような声に振り返ると居るのは赤い頭の家族。
 ルカとは構造の違うかれは、何やらひどく眠たげにあくびを繰り返しては寝間着の袖で目元をこすっている。



「マスターがおなかが減って、眠れないって、あったかいもん作ってくれって、五月蠅いんだよ。おれ飯なんて作れないから、ルカ、さがして、マスター今台所でココア飲んでるから、なんか、」

「分かりました、とりあえずアカイトは部屋に戻って寝ておいて下さい」

「んう」



 よろよろとしているアカイトが無事にベランダへ降りたったのを確認して、ルカもそれに続く。
 ふと振り向いた先には、逆さに光るカシオペア座が瞬いていた。

 星空の下散歩することもできやしない。
 けれども、その環境を疎ましく思ったことなど一度もなかった。

 なんだか軽い足取りで、ルカは台所で待っているだろうマスターのもとへ向かう。








   ざんねん、あなたにかまっているひまなんてありません!





**********


05 星空散歩


本格的にルカがお母さん

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お題から



**********


 ひつじがいっぴき、ひつじがにひき。
 指を折り曲げては、のばす。まるで指の体操みたいだ、と思った。








  スリープシープ








 パソコンの中でなら、寝なくても良いし食べなくても良いし、情報操作を上手くやれば動くことだって省くことができるのにな、と考えながらわたしは毛布にくるまっていた。
 外部端末の中に入ると、急にいろいろな外部からの情報が雪崩込んできてすきじゃない。
 それでも他のみんながなるべく端末に居ようとするのは、また居ようとさせるのは、やっぱり不安だからなのかなぁ。

『本体』の入っていないボーカロイドの外部端末は、一応維持電源こそ入ってこそすれ、死体みたいなものだから。

 ひとのかたちをした動かない物体。


「でもそれってスリープの時と何が違うのかな」


 呼吸という行為をしていないわたしは、スリープ状態にはいるとぴくりとも動かなくなる……はずだ。たぶん。
 そう言う風に設定されているはず。

 同居しているメイコさんなんかはなぜだか自由奔放な寝相を発揮しているけれど、それはきっとマスターがそう設定したからだろう。
 少なくともわたしは、寝る前と起きた後の体勢が変わっていたことはないし、知らぬ間に移動した形跡だって見たことがない。



 それにしてもメイコさんの寝相はほんとすごいよなぁ。
 セクシーかつなんてあられもない御格好。




 そんなよしなしごとを考えながら、再び毛布にくるまり直った。


 寝れないわけじゃないよ。
 寝たいなら頭の中のAIに『スリープモードに入れ』と司令を送るだけで、歌詞にスタッカートをつけるよりも簡単だ。


「……」



 ただ、ちらりと開いたカーテンの向こうから覗く星空がやたらと綺麗で、

 羊を百匹数え終わるまで、それまで少し眺めていようと、そう思った。




**********

04 百匹の羊

ぐみたん

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お題より



**********



  べしゃりと布団に沈みこむ。自室としてあてがわれたファイルの内部は、けれどひどく質素だ。
 寝て起きるためだけのようなファイル。カイトはPC内での生活を大抵『リビング』で過ごすようにしていた。
 入れ替わり立ち替わり、大体いつでも家族がいるその部屋。


 もしかしたら、自分はひとりが嫌いなんだろうか、とカイトはもぞもぞ布団に潜り込みながら思う。コートを脱ぎ散らし床へ落とし、靴ごと靴下を脱いで布団へつっこむ。うつろな温さが出迎えた。

 PC内部の時計を確認すると、まだまだ宵の口といったところだった。



「……――んがー」



 不意に先ほどまで怒鳴り合っていた声帯プログラムが自動メンテナンスを始める。
 不調を来してしまうほど怒鳴るなんて、プロ意識に欠けるなぁとセルフで嘆息。

(『だから、この音はもうちょっと高くって!』『マスター! 俺はまだKAIKOにはなりたくありません!』『頑張れよ! おまえならやれるよやれ!』『あああああ!』)



「……ぬぁあ」



 ばふ、と枕に頭を押しつける。


『♪♪♪』


「……ん?」


 不意に電子音が鳴り響いた。
 カイトは頭をもたげ、エーテル漂う宙に指を這わせ電子音の元――仮装メーラの着信音だ――を表示させる。



「ルカ?」



 見慣れたアドレスからメールが届いていた。
 展開してみるが、本文は空白。ミスだろうか、と首を傾げ、添付されているMP3に気がついた。

 再生





《カイト兄さん、お疲れさまです。リビングで皆でお酒を飲んでますので、お手透きでしたらどうぞ》



 いつもより僅かに上擦った妹の声。
 そのバックには聞き慣れた声もいくつか入っていた。

 カイトがそれを聞き終わったと同時に、また鳴り出す電子音。




『♪♪♪』


《兄貴ー! アイスあるぞー!》


『♪♪♪』


《カーイトーさん! あっそびまっしょー!》



『♪♪♪』


《良い泡盛があるぞ。この前手前が飲みたいと言っていた焼酎、早く来ないと飲んでしまうからな》







『♪♪♪』


《かーくん、早く来なさい!》





「……ほんとに全く、うちの大人達はどうしてこう、」



 ほころぶ口元を押さえて、カイトはつぶやく。



「疲れてる場合じゃねぇや」






**********

03 真夜中のラブコール



家族からの、ということで

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お題より



**********




「レンー、わかるー?」

「わかんねー」

「オリオン座しかわかんないねぇ」




  きらめくぜ星間飛行





「やっぱり、データだけじゃ現物とは違うね、リンちゃんは解る?」

「あっちが昴星団でー、あれが、オリオン?」

「北斗七星があれだろ?」



 レンがノートパソコンを叩いては、空と見比べて端末の眉をしかめる。お世辞にも広いとは言い難いベランダにはビニールシートが敷かれていた。
 飲み物を置いていったアカイトの息が白く染まっていたのと、端末を構成する人工皮膚が冷たく冷えている事、オイルの巡りが悪いことから、リンは随分気温が低い事に気づいた。

 ヒトなら凍え、鼻の頭を赤くするところなのだろうが、リンもレンもいつもと同じ、手足をむき出しの水兵服のような格好のままだ。
 姉分のミクだけが毛布にくるまり空を見上げている。



「……さむいねぇ」

「うん、みたいだね」

「こういうの、底冷えって言うんだって。マスタが言ってた」

「そー、なんだ」



 彼女の主人は技術力や財力を好きなように全力投球できる人柄で、そのため彼女は最先端のアンドロイドもかくやの性能を誇っている。
 少し前に外気温対応センサーが搭載されたと聞いて、この寒空の天体観測を立案したのはリンとレンだ。たくさんの歌を感情豊かに歌い上げたいと願う姉に新しい『感覚』が出来た。ここは一つ、それを実感して貰おうという作戦だ。

 空調の利いた室内では感じられない気温があるはずだ。



 それはリンとレンには感じられないものだけれど。





「あー! あれが大三角形? 違う? ねぇレンくん!」

「あっちはー?」

「待って待って、いま調べるから」









**********

02 ベランダで天体観測

大人たちが爛れた酒宴を繰り広げる上で、子供たちはわりと真面目でした

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お題より




**********




 じざざ、とゆがんだ音を引っかくような音がする。



  マヨナカラジオ



 メイコは外部端末の頭をもたげてかさついたレンズを洗浄した。薄暗い室内には幾つもの人影がまさしく散乱している。
 学生のはずなのに何故か一軒家に住む愛宕の家の、一室だ。どうやら自分はフローリングに置かれたソファベッドに横たわっているらしい。
 AIが光量を感知して、モノアイを暗視モードに切り替えた。
 部屋の中を見回して、一息。



「……死屍累累ね……」



 足下にひっかかった見慣れたマフラーを蹴り飛ばし、寝そべったままの体勢で呟いた。



 カイトと根岸は二人仲良く向かい合って足の短いテーブルに突っ伏している。初音ミク保護者同盟、などと言いながらかっぱかっぱと酒瓶を空けていた報いか、此方を向いた根岸の顔は苦しげにゆがんでいる。
(「根岸さんはちょっとミクに過保護すぎです!」「う、うるさいな、君にだけは言われたく無いぞ!」「お兄ちゃんには妹を可愛がる義務があるんですー!」「お父さんにもありますー!」「……はぁ」「おい何だそのため息」)

部屋の隅ではがくぽが毛布から頭だけ出して丸まっている。
 それから余った毛布を枕にするようにしてめぐぽとアカイトが転がっていた。
(「このミルクで割るお酒美味しいねー」「なー」「これにワサビを入れたらもっと美味しくなるかなー」「暴君入れようぜー」「いえーい投入ー」「「……」」「なんだこれ美味い!」「凄いねー!」「「がくぽー(おにいちゃーん)これ飲んでみてー」」)
(「いらんわ!!」)

 会津は何を思ったのか頭を半分押入に入れていて、その傍らで倭文が倒れ込んでいた。
(「俺は二次元に行きます探さないで下さい」「会津さん落ち着こう落ち着いて考えて、それは二次元への扉じゃないから!」)

 花名の足が一人掛けのソファに引っかかっている。
(「誰だ花名に酒飲ませたの!」「「はーい」」「だめだろこいつ見た目によらず凄い酒弱いんだか、ああっ! 倒れた! カロリ飲んで倒れた!」)

 ルカはそのソファの上、まるで猫のように丸くなっていた。
(「起きあがれないよー)」

 愛宕の姿が見あたらない。寝室に戻ったのだろうか。
(「じゃあ私は少し子供たちのほうへ差し入れに行ってきますね」「誰かあいつ止めろ! あれジュースじゃない酒だ!」)



 ともかく、部屋中が酷いアルコール臭だった。
 こりゃ、少なくともマスター勢は明日は使えまいとメイコはため息を吐く。

 彼女たちの外部端末には一応アルコールを分解する機能が付いているが、アルコールはエネルギーへの変換が難しい為に、内部の機械に変調をきたすのだ。それは自己回復で何とかなるのだが、それが追いつくまでは人間で言うところの『酔っぱらった』状態になり、回復の為にスリープになる。

 メイコは頻繁にアルコールを摂取しているので自己回復も早いが、慣れないもの達は回復も遅いのだろう。



「……まだ四時」



 視界の端に浮かぶ体内時計はわりと縁起の悪い数字を表記している。少なくとも後三時間はスリープしていても怒られないはずだ。
 なのに何故起動してしまったのか、とメイコは目を細める。


 ノイズが聞こえるのだ。



「……」



 すわ端末の機械の故障かと慌てて身を起こしたが、どうやら違うらしい。内部から聞こえてくるのではない、集音マイクから舞い込む音。
 ざざざじ、とひきつるような音がしている。
 音源を辿ると、その先にあったのは小さな携帯端末。消費電力を押さえるためにか、光を放たずネットラジオの再生プレイヤーを表示している。
 どうやらどこかのネットラジオを受信しているらしい。

 手を伸ばして簡単にチューニングをすると、微かな音量で軽快な声が聞こえてくる。


(『それでは、ヒットチャート行ってみましょう』『君ね、そのしゃべり方大分きもいで?』『……まずは第十位!』『えーっ? ちょ、ま、ちょ聞いて? なぁ聞いて?』)



 緩やかなナンバーに耳を傾けながら、ゆっくりとメイコは瞳を閉じた。
 明日はまたばたばたとするんだろうなぁ、と考えている内にAIはスリープに入り、









**********

深夜の十題
01 流れてきたのはヒットチャート



子供組は天体観測をしています
だめな大人たちだ!


後実は初登場の面々がとてもたくさん
説明は追々

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お題サイト『kara no kiss』様から強奪しました

ぼちぼちやっていきます




01 流れてきたのはヒットチャート
02 ベランダから天体観測
03 真夜中にラブコール
04 百匹の羊
05 星空散歩
06 最終電車に間に合うように
07 砂嵐に酔う、
08 コンビニの蛍光灯の下で
09 まるで世界に一人みたいな静けさ
10 ああ、また朝がきてしまった



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