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お題より
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「レンー、わかるー?」
「わかんねー」
「オリオン座しかわかんないねぇ」
きらめくぜ星間飛行
「やっぱり、データだけじゃ現物とは違うね、リンちゃんは解る?」
「あっちが昴星団でー、あれが、オリオン?」
「北斗七星があれだろ?」
レンがノートパソコンを叩いては、空と見比べて端末の眉をしかめる。お世辞にも広いとは言い難いベランダにはビニールシートが敷かれていた。
飲み物を置いていったアカイトの息が白く染まっていたのと、端末を構成する人工皮膚が冷たく冷えている事、オイルの巡りが悪いことから、リンは随分気温が低い事に気づいた。
ヒトなら凍え、鼻の頭を赤くするところなのだろうが、リンもレンもいつもと同じ、手足をむき出しの水兵服のような格好のままだ。
姉分のミクだけが毛布にくるまり空を見上げている。
「……さむいねぇ」
「うん、みたいだね」
「こういうの、底冷えって言うんだって。マスタが言ってた」
「そー、なんだ」
彼女の主人は技術力や財力を好きなように全力投球できる人柄で、そのため彼女は最先端のアンドロイドもかくやの性能を誇っている。
少し前に外気温対応センサーが搭載されたと聞いて、この寒空の天体観測を立案したのはリンとレンだ。たくさんの歌を感情豊かに歌い上げたいと願う姉に新しい『感覚』が出来た。ここは一つ、それを実感して貰おうという作戦だ。
空調の利いた室内では感じられない気温があるはずだ。
それはリンとレンには感じられないものだけれど。
「あー! あれが大三角形? 違う? ねぇレンくん!」
「あっちはー?」
「待って待って、いま調べるから」
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02 ベランダで天体観測
大人たちが爛れた酒宴を繰り広げる上で、子供たちはわりと真面目でした
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