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お題より
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星空が今にも落ちてきそうだ。
随分前に星座の双子を歌う曲のカバーをしたことを思い出しながら、ルカは空を見上げる。
さかさのダブルユー
屋根の上って気持ちいいんですよ、と言ったのはマスターで、そういう発言をしたという事は別に屋根へ登ってもかまわないというゴーサインなのだろう、とそれでもびくびくとしながらルカは身じろぎする。地面は遠い。見慣れた小さな庭は、上からの視点で見るといつもとは随分違った様相にみれた。ともかく、落ちたら端末が機能停止しかねない。
それでもなぜ彼女がここに上っているのかと聞かれれば、それはルカ自身も首を傾げざるを得なかった。
ほんとうに、なんで上っているのだろうか。
「……?」
眉を寄せても分からなかった。
あちらに見えるのがオリオン座。北に遠く浮かぶのがこぐま座。それに寄り添うようにおおくま座。カシオペア座がひっくり返っている。
星座の合間を縫うように順々に追っていけば、それはまるでナイトウォーク。
怖いけれど、とルカは一息吐く。
どうしてなかなか、こう言うのも悪くない。
「……ルカぁ」
「っ?!」
「こんなとこに居たのかよう。探したんだけど」
がたりと物音がして、気の抜けるような声に振り返ると居るのは赤い頭の家族。
ルカとは構造の違うかれは、何やらひどく眠たげにあくびを繰り返しては寝間着の袖で目元をこすっている。
「マスターがおなかが減って、眠れないって、あったかいもん作ってくれって、五月蠅いんだよ。おれ飯なんて作れないから、ルカ、さがして、マスター今台所でココア飲んでるから、なんか、」
「分かりました、とりあえずアカイトは部屋に戻って寝ておいて下さい」
「んう」
よろよろとしているアカイトが無事にベランダへ降りたったのを確認して、ルカもそれに続く。
ふと振り向いた先には、逆さに光るカシオペア座が瞬いていた。
星空の下散歩することもできやしない。
けれども、その環境を疎ましく思ったことなど一度もなかった。
なんだか軽い足取りで、ルカは台所で待っているだろうマスターのもとへ向かう。
ざんねん、あなたにかまっているひまなんてありません!
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05 星空散歩
本格的にルカがお母さん
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