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お題より
**********
じざざ、とゆがんだ音を引っかくような音がする。
マヨナカラジオ
メイコは外部端末の頭をもたげてかさついたレンズを洗浄した。薄暗い室内には幾つもの人影がまさしく散乱している。
学生のはずなのに何故か一軒家に住む愛宕の家の、一室だ。どうやら自分はフローリングに置かれたソファベッドに横たわっているらしい。
AIが光量を感知して、モノアイを暗視モードに切り替えた。
部屋の中を見回して、一息。
「……死屍累累ね……」
足下にひっかかった見慣れたマフラーを蹴り飛ばし、寝そべったままの体勢で呟いた。
カイトと根岸は二人仲良く向かい合って足の短いテーブルに突っ伏している。初音ミク保護者同盟、などと言いながらかっぱかっぱと酒瓶を空けていた報いか、此方を向いた根岸の顔は苦しげにゆがんでいる。
(「根岸さんはちょっとミクに過保護すぎです!」「う、うるさいな、君にだけは言われたく無いぞ!」「お兄ちゃんには妹を可愛がる義務があるんですー!」「お父さんにもありますー!」「……はぁ」「おい何だそのため息」)
部屋の隅ではがくぽが毛布から頭だけ出して丸まっている。
それから余った毛布を枕にするようにしてめぐぽとアカイトが転がっていた。
(「このミルクで割るお酒美味しいねー」「なー」「これにワサビを入れたらもっと美味しくなるかなー」「暴君入れようぜー」「いえーい投入ー」「「……」」「なんだこれ美味い!」「凄いねー!」「「がくぽー(おにいちゃーん)これ飲んでみてー」」)
(「いらんわ!!」)
会津は何を思ったのか頭を半分押入に入れていて、その傍らで倭文が倒れ込んでいた。
(「俺は二次元に行きます探さないで下さい」「会津さん落ち着こう落ち着いて考えて、それは二次元への扉じゃないから!」)
花名の足が一人掛けのソファに引っかかっている。
(「誰だ花名に酒飲ませたの!」「「はーい」」「だめだろこいつ見た目によらず凄い酒弱いんだか、ああっ! 倒れた! カロリ飲んで倒れた!」)
ルカはそのソファの上、まるで猫のように丸くなっていた。
(「起きあがれないよー)」
愛宕の姿が見あたらない。寝室に戻ったのだろうか。
(「じゃあ私は少し子供たちのほうへ差し入れに行ってきますね」「誰かあいつ止めろ! あれジュースじゃない酒だ!」)
ともかく、部屋中が酷いアルコール臭だった。
こりゃ、少なくともマスター勢は明日は使えまいとメイコはため息を吐く。
彼女たちの外部端末には一応アルコールを分解する機能が付いているが、アルコールはエネルギーへの変換が難しい為に、内部の機械に変調をきたすのだ。それは自己回復で何とかなるのだが、それが追いつくまでは人間で言うところの『酔っぱらった』状態になり、回復の為にスリープになる。
メイコは頻繁にアルコールを摂取しているので自己回復も早いが、慣れないもの達は回復も遅いのだろう。
「……まだ四時」
視界の端に浮かぶ体内時計はわりと縁起の悪い数字を表記している。少なくとも後三時間はスリープしていても怒られないはずだ。
なのに何故起動してしまったのか、とメイコは目を細める。
ノイズが聞こえるのだ。
「……」
すわ端末の機械の故障かと慌てて身を起こしたが、どうやら違うらしい。内部から聞こえてくるのではない、集音マイクから舞い込む音。
ざざざじ、とひきつるような音がしている。
音源を辿ると、その先にあったのは小さな携帯端末。消費電力を押さえるためにか、光を放たずネットラジオの再生プレイヤーを表示している。
どうやらどこかのネットラジオを受信しているらしい。
手を伸ばして簡単にチューニングをすると、微かな音量で軽快な声が聞こえてくる。
(『それでは、ヒットチャート行ってみましょう』『君ね、そのしゃべり方大分きもいで?』『……まずは第十位!』『えーっ? ちょ、ま、ちょ聞いて? なぁ聞いて?』)
緩やかなナンバーに耳を傾けながら、ゆっくりとメイコは瞳を閉じた。
明日はまたばたばたとするんだろうなぁ、と考えている内にAIはスリープに入り、
**********
深夜の十題
01 流れてきたのはヒットチャート
子供組は天体観測をしています
だめな大人たちだ!
後実は初登場の面々がとてもたくさん
説明は追々
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じざざ、とゆがんだ音を引っかくような音がする。
マヨナカラジオ
メイコは外部端末の頭をもたげてかさついたレンズを洗浄した。薄暗い室内には幾つもの人影がまさしく散乱している。
学生のはずなのに何故か一軒家に住む愛宕の家の、一室だ。どうやら自分はフローリングに置かれたソファベッドに横たわっているらしい。
AIが光量を感知して、モノアイを暗視モードに切り替えた。
部屋の中を見回して、一息。
「……死屍累累ね……」
足下にひっかかった見慣れたマフラーを蹴り飛ばし、寝そべったままの体勢で呟いた。
カイトと根岸は二人仲良く向かい合って足の短いテーブルに突っ伏している。初音ミク保護者同盟、などと言いながらかっぱかっぱと酒瓶を空けていた報いか、此方を向いた根岸の顔は苦しげにゆがんでいる。
(「根岸さんはちょっとミクに過保護すぎです!」「う、うるさいな、君にだけは言われたく無いぞ!」「お兄ちゃんには妹を可愛がる義務があるんですー!」「お父さんにもありますー!」「……はぁ」「おい何だそのため息」)
部屋の隅ではがくぽが毛布から頭だけ出して丸まっている。
それから余った毛布を枕にするようにしてめぐぽとアカイトが転がっていた。
(「このミルクで割るお酒美味しいねー」「なー」「これにワサビを入れたらもっと美味しくなるかなー」「暴君入れようぜー」「いえーい投入ー」「「……」」「なんだこれ美味い!」「凄いねー!」「「がくぽー(おにいちゃーん)これ飲んでみてー」」)
(「いらんわ!!」)
会津は何を思ったのか頭を半分押入に入れていて、その傍らで倭文が倒れ込んでいた。
(「俺は二次元に行きます探さないで下さい」「会津さん落ち着こう落ち着いて考えて、それは二次元への扉じゃないから!」)
花名の足が一人掛けのソファに引っかかっている。
(「誰だ花名に酒飲ませたの!」「「はーい」」「だめだろこいつ見た目によらず凄い酒弱いんだか、ああっ! 倒れた! カロリ飲んで倒れた!」)
ルカはそのソファの上、まるで猫のように丸くなっていた。
(「起きあがれないよー)」
愛宕の姿が見あたらない。寝室に戻ったのだろうか。
(「じゃあ私は少し子供たちのほうへ差し入れに行ってきますね」「誰かあいつ止めろ! あれジュースじゃない酒だ!」)
ともかく、部屋中が酷いアルコール臭だった。
こりゃ、少なくともマスター勢は明日は使えまいとメイコはため息を吐く。
彼女たちの外部端末には一応アルコールを分解する機能が付いているが、アルコールはエネルギーへの変換が難しい為に、内部の機械に変調をきたすのだ。それは自己回復で何とかなるのだが、それが追いつくまでは人間で言うところの『酔っぱらった』状態になり、回復の為にスリープになる。
メイコは頻繁にアルコールを摂取しているので自己回復も早いが、慣れないもの達は回復も遅いのだろう。
「……まだ四時」
視界の端に浮かぶ体内時計はわりと縁起の悪い数字を表記している。少なくとも後三時間はスリープしていても怒られないはずだ。
なのに何故起動してしまったのか、とメイコは目を細める。
ノイズが聞こえるのだ。
「……」
すわ端末の機械の故障かと慌てて身を起こしたが、どうやら違うらしい。内部から聞こえてくるのではない、集音マイクから舞い込む音。
ざざざじ、とひきつるような音がしている。
音源を辿ると、その先にあったのは小さな携帯端末。消費電力を押さえるためにか、光を放たずネットラジオの再生プレイヤーを表示している。
どうやらどこかのネットラジオを受信しているらしい。
手を伸ばして簡単にチューニングをすると、微かな音量で軽快な声が聞こえてくる。
(『それでは、ヒットチャート行ってみましょう』『君ね、そのしゃべり方大分きもいで?』『……まずは第十位!』『えーっ? ちょ、ま、ちょ聞いて? なぁ聞いて?』)
緩やかなナンバーに耳を傾けながら、ゆっくりとメイコは瞳を閉じた。
明日はまたばたばたとするんだろうなぁ、と考えている内にAIはスリープに入り、
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深夜の十題
01 流れてきたのはヒットチャート
子供組は天体観測をしています
だめな大人たちだ!
後実は初登場の面々がとてもたくさん
説明は追々
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