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ぼーかろいどのSSとかを書いてたりするよ
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がくルカのような何か
ルカ様の誕生日にぜんぜん間に合わなかったのでいっそ開き直り



**********




 神威がくぽについて考える。
 ルカは彼のことを憎からず想っていた。

 好きとかそういうのは置いておいて、と自分に言い訳をしながら脳裏に彼を思い浮かべる。
 あの何処を見ているか分からないぼうとした目つき。骨張った手指。流れる髪。脳の芯を揺する声。長い体躯をちぢこめるような座り方。朴訥とした立ち振る舞い。

 それから、なんというか、あの性格。

 例えば、第一印象、初対面のルカに彼が言い放った言葉は

『好きな曲は《よっこらせっくす》です』

だった。いや良い曲だけれども。


 朴訥と淡々と、自分のペースをあまり崩さない。

 彼のマスターはそれを『病院へ行け』と表現した。
 おそらくそれは『神威がくぽ』の特徴ではなく、彼自身の個性と言って変わりない。
『もう少しまともなら』と身内で形容されるのを何度も聞いてきた。


 けれども彼のそんな性質を、ルカは好ましいと思うのだ。


 堅物の自分にはおそらく辿りつけない――自覚はあるのだ――、その立ち振る舞いが羨ましく感じられていた。





  愛を込めて三百八十七円




 のだが。







「巡音、ケーキを買いに行こう」




 認識を改めようかしら、とルカは悩んでいた。


 アカイトは会津の家に泊まり込みで収録があるので帰らない。マスターは珍しく学生時代の友人たちと某夢とネズミの国へ旅立ってしまった。つまり本日、何故か無闇にひろいこの一軒家でルカは一人きり、留守の番を任されてしまったのだ。
 風呂からあがって脱衣場から出ると、約三十センチの距離を置いたがくぽが鎮座していた。それだけでも絶句だったが、開口一番飛び出した言葉が「ケーキ」だ。
 美声と言って差し支えない声が至って真面目に「ケーキを食べよう」と言うのだ。
『病院へ行け』どころではない。いっそ『病院が来い』だった。


 まず何で居る。
 そして何故風呂場の前で鎮座している。


 とりあえず首に掛かっていたバスタオルを顔に投げつけ、「おお?」と声をあげるその頭に向かって右足を振り抜く。やたらと高い位置にある側頭部をねらったはずだったが、つま先が顎を掠るにとどまった。長身であるのは認識していたが、想定以上だ、とルカは瞬きをする。



「おい巡音、なんだいきなり」



 ずれ落ちたバスタオルを持ち上げるその顔に向かって、今度は跳び足刀をたたき込む。ぱし、と小気味の良い音。
 ルカの白い御足は、骨張った手に受け止められていた。



「……離して下さい」

「離したら蹴るだろう」

「蹴りません」

「分かった」



 手が離され、温い拘束から足が解放される。
 がくぽはルカに投げつけられたバスタオルを不思議そうに眺めていた。



「何故、居るのですか」

「アカイトが泊まるから、俺の端末はじゃまなのだそうだ。追い出された。愛宕さんに許可を取ったから、此処で夜を越せ、と」



 そう言ってがくぽは、普段アカイトが持たされている家の鍵をルカに手渡す。
 淀みのない説明に、言及の余地すら無かった。
 実は風呂の前にいた理由は不明のままだったが、ルカはなんかもう忘れていた。本人もとくになにも考えていないだろう。
「そうですか」と頷き、夕食を振る舞ったりしたほうがいいのだろうかと瞬きを繰り返していると、勢い良く手を取られた。ルカははじかれたようにがくぽをみる。



「な、んですか」

「巡音、ケーキだ」

「はぁ?」

「ケーキを買いに行こうではないか」



 そのままルカの手を引き、廊下を走り出す。え、なに、ほんとになに、と割りと本気で混乱しながらルカはそれについていった。足のリーチが違うので、ぐいぐいと手が引っ張られる。

 一体なんだというのだ。



「神威?! 一体何ですか?!」

「ケーキだ、ケーキ」



 玄関にあった靴に足をひっかけ、がくぽが玄関に激突。痛々しい音をたてた鼻を押さえ、立ち止まったのを良いことにルカはその襟首をつかみあげる。
 けれども鼻を赤くした彼は飄々とその三文字ばかりを繰り返した。



「ケーキって……こんな時間じゃ、もう何処の店も開いてないわよ」

「……コンビニでいい」



 兎も角、行くぞ。

 言われ、再度腕を引かれた。あわててサンダルを引っかける。先ほどの激突に学んだのか、今度は割りとゆっくりめなペースだ。
 とはいえ、がくぽが二歩で歩く距離をルカは三歩かけなければならないので、ルカにとってはそんなに遅いという早さには感じられない。


 向かう先はどうやら本当にコンビニだった。住宅街の外れ、煌々と電灯が光っている。

 手を引いたままコンビニへ入り、ルカに戸惑う暇も与えずずんずんと奥のスイーツコーナーへ。



「俺はこれを食う」ちょん、とチョコムースのケーキを指さした「巡音はなにを食べる。好きなのを選ぶとよいよ」

「……? どういうこと?」

「誕生日、祝えなかったからな」



 ところ狭しと並ぶスイーツに向けていた視線をガッとがくぽに移す。口の両端を緩やかに曲げ、穏やかに笑んでいた。

 握られたままの手を離してほしい、とルカは口を開閉する。
 確かに先月の末日は自分の製品の発売日だった。が、自身が起動されたのはもっとあとのことで、と言い訳じみた言葉が脳内で駆け巡る。

 それらをそのまま口に出そうとして――飲み込んだ。


 ほほえむがくぽから視線を逃した。
 そして、イチゴの乗ったチーズケーキを指さす。








**********

病院が来いながくぽと、先生、タグロックもうそこでいいですなルカ

我が家のがくルカはこんな感じか、もっとツンデレか
ツンデレ系も書いてみたいなぁ

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