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ゆめにっきEDネタバレ
あれは……だめだろ……
ほんとだめだろ……
**********
あ、という声につられてそちらを見た。
アカ兄とレンがパソコンの画面を見ている。何、と思わずのぞき込むんだ。
荒いドットの画面。
小さなベランダのような場所から、ひゅうというような効果音を思わせる軽々しさで、ピンク色の服を着た少女が落ちていった。
ふと画面が暗くなる。
中央に浮かび上がってくるのは、これまたドットの荒い、赤。
「うそ」
唖然とした声で呟いたのは、レンなのかアカ兄なのか、はたまた私なのだろうか。
どりーむだいあり
「……嘘だろ、こんなん、ありかよ」
「……」
私たちは電脳空間に於いて、わりと自由度の高い待遇を受けている。マスターたちはコミュニティ内でネット上に共有できるフォルダを作っていて、私たちはパソコンの中で待機している時、いつでも其処に出入りできるのだ。
もちろんweb上のページを渡り歩くことも、可能。ただしこれは自己責任なので、危険そうなページには出入りしないのが暗黙の了解だった。
兎も角、その共有フォルダの中、幾つにも小分けされたファイルの中の、一番出入りしやすい位置の一つを私たちは『リビング』として、入れ替わり立ち替わり、共有の場として扱うことにしていた。
其処で、ミク姉はお菓子を食べたり歌の練習をしたり、カイト兄はアイスを食べたりニュースを見たり、メイコ姉はお酒を飲んだりマンガを読んだり、ルカちゃんは動画を見たりひなたぼっこをしたり、がく兄はうたた寝したり本を読んだりしている。私もよくこのファイルで、拾ってきたテキストデータを読んだりミク姉やがく兄の髪をいじったりしている。
レンはなんだかフリーゲームにはまっているらしくて、他のきょうだいを巻き込んで良くパソコン(便宜的な画面の代わりに作られたものだ)に向かっているのをみる。
今日のお供はどうやらアカ兄で、さっきから楽しそうな声が飛んでくるなぁと料理のレシピデータを読んでいた私は思っていたのだ。
それなのに、振り返って見たのは、
「後味、悪」
「ん……」
アカ兄が眉を寄せてマウスを寄せ、ぱちぱちと操作して黒いウィンドウを消した。
その顔は少しだけ憔悴していて、軽く息を吐き出すたびに体がふるえている。電脳世界ではアカ兄も呼吸なんてしなくて良いはずなのに、外部端末での癖なんだろうか。
レンは俯いて、ぼうっとしている。
「……リン、来て」
「え?」
私に向かって、ちょいちょいと指が振られた。
レンの様子を察したのか、アカ兄が気を利かせて、私とレンの間にあるソファの結合を解除する。歩み寄りやすくなった私は、呼ばれるままにレンの元へ向かった。
「……どしたの、レン」
「知らね」
ぎゅ、と腰のあたりに私と同じくらい細い腕が巻き付いた。レンの額が丁度おなかの少し上に押しつけられている。表情は、見えない。
声を上げるタイミングも、なにもかもを失った私は助けを求めてアカ兄を見た。
「……」
レンと私ごと腕をのばして、囲まれた。力加減の解らないあまりにも緩すぎる抱擁。
やっぱり顔を伏せたアカ兄がレンの服の襟を整えて呟く。
「ちょっと、ごめんな」
なんだろう、この状態は。
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精神的にやられたアカとレン
あれはだめだよ……本当にあの終わり方はだめだって……
なまじっかハッピーエンドが見えていたからもう……
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