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一年のはじめ一発目からなんかごめんなさい
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「何でバニー!」
「ウサギ年だから!」
ひゃっほう、と拳を突き上げるカイトを叩き沈めるのにかかった時間、約三秒。
ばにー!
「こういうのは、ミクとかリンとかがすればいいじゃないの……」
「えー、じゃあめいこねぇがうさぐるみ着るの?」
「もふもふだよ!」
「あーそれはきっついか」
「大体私たちがしてもちょっと残念なだけで何のサービスにもならないよ」
「ミクねぇ開き直りすぎだよ! もっと自分の体に自信持って!」
「いやだって、ねぇ? さすがに長年これと付き合ってきたら、慣れるって。もう望みも……」
「そ、そうかもしれないけどいやそんな悲しいこと言わないで!」
「いいんだよリンちゃん、私もうそんなに期待してないから。リンちゃんはまだ未来があるから、頑張ってね」
「あきらめないでぇえええ!」
もふもふともふもふがもふもふもふもふしている様を見つつ、メイコははふぅとため息を吐いた。かなり際どいラインの布地が目に入る。いやまぁ、自分だって女性型アンドロイドだ。そーいう対象になってることぐらい十分に理解している。別に嫌悪感なんて感じるほど若い感性もしていない。
ただこの格好だと足組むと危ないかなぁだとか、しっぽの所為で座ると違和感あっていやだなぁだとか、そんなぼんやりとした不満があるばかりだ。
その貫禄ある姿に妹たちはもふもふと尊敬の視線を送っていたとか何とか。
そんな物よりも、とメイコは視線を動かす。
見つけた桃色は、出来うる全力をかけて身を縮こめていた
「ルカ―」
「……うぅう」
漏れ聞こえてくるため息に、少々は同情の念も感じる。が、こういうのは開き直ったもの勝ちなのだ。妹にこの業界で強く生き抜いて貰うためにも、メイコは心を鬼にして特に何もしなかった。いろいろするのが面倒だったという見方もある。
メイコがスタンダードな黒バニーなのに対し、ルカは白バニーだ。純白なのがまた羞恥を誘っているのかも知れなかった。
「強く…生きるのよ」
「メイコ姉さんはそうやって他人事だから!」
「いや私ぜんぜん他人事じゃないんだけど」バニー着てるし「でもそんなに恥ずかしい?」
「恥ずかしいですよ!」
「わ、私に怒らないでよ……」
理不尽極まりない怒鳴り声にメイコはちょっと眉を垂らす。向こうの方ではふつうっぽいウサ耳衣装のグミが人参スティックをもぐもぐやっていた。こちらの視線に気付いたのか、跳ねるような足取りで向かってくる。その様子は妙に違和感がない。
あぁ、すっごいはまり役。メイコはそんな事を思う。
「お、おぉお、メイコさんもルカさんもせっくしー! 似合うー!」
「ありがとう」
「……」すごく恨めしそう「グミちゃんは、ふつうの服なのね」
「あ、そうそうこの服ねぇ。可愛いよね。ルカさんのマスターが作ってくれたんでしょ? ありがとーって言っておいてー」
「え?」
「え? 聞いてないの? 今回も衣装デザインはみんなルカさんとこの……――え?」
何もメイコたちは意味もなくこんなコスプレまがいをしている訳ではないのだ。
『リアル新春シャンソンショーコラボ』なるものを発足させたマスター一行が、皆完璧にネタに走った結果がこれだった。一人くらいガチがいてもいいんじゃないかと思ったが、いないもんはいないのだからどうしようもない。
そんな訳で、せっかくだから個々以外にも集まって一曲何か、と衣装も合わせ、撮影に臨んだのが今日だった。
「ます、たー……」
「え、え? な、なんか言っちゃだめなこと言った? なんかルカさん信じてた者に裏切られた人の顔に……!」
「そっとしておいてあげなさいな」
「えっ」
「ところでめーねぇめーねぇ」ぴょこん、と机の下からもふもふ二号(リン)が飛び出る「レン知らない? さっきから居ないんだけど」
「さぁ、確かそっちはカイト達の所と一緒に歌ったのよね?」
「そーそー私カイトにいと歌ったよー。レンはがくぽんと」
「バナナスとー、リンちゃんとカイトさんのコンビってなんだっけ?」
「……リンカイ点?」
「なんかそれ違うくない?」
かっくりグミが首を傾げるのにつられて、リンもかっくりと首を折る。
因みにぐったりと床に沈んでいるカイトはというと、通常衣装に百均かなにかのうさぎ耳をつけただけといういっそ切なくなるほどの手抜き加減だった。この完璧装備の女性陣の中、そのチープ差が浮いている。
「というか、カオス……」
さめざめと泣くレンといっそもうどうでもいいの境地に達したがくぽとがバニーボーイ姿で部屋に入ってくるまで、後五秒。
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新年早々ごめんなさいというかなんというか、もうそろそろ「新年(?)」みたいな感じです
がくぽとレンもちゃんと出したかったんですが力つきました
いろいろと、駄目な気しかしないわ!
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